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黒田の古道「京みち」復活!

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京都市右京区まちづくり支援制度

黒田の古道「京みち」復活!

1.黒田の京みち・トロ峠
右京区京北黒田に「トロ峠」という山道があります。
黒田の宮町、下黒田町の集落と灰屋町の集落を最短で結ぶ峠道です。
標高は658m。地元では昔から「京道(きょうみち)」と呼ばれてきました。


上桂川の上流域に位置する山国や黒田は、平安時代から木材の供給地として「禁裏御料地」、すなわち宮中の直轄地となり、「山国荘」と呼ばれました。
本郷・山国に対し、黒田や小塩、広河原などは、その枝郷とされ、「奥山」とも呼ばれたそうです。


室町中期から江戸末期まで、天皇の側近の女官が書き継いだ日々の記録「御湯殿上日記(おゆどののうえにっき)」には、「くろたよりかちん(=餅)まいる」「くろたよりあゆ(鮎)まいる」などと記され、餅や粽、鮎、柿、檜皮(ひはだ)、樒(しきみ)など四季折々の産物が、黒田からも頻繁に宮中に届けられたことが記されています。
黒田から都までは、山道を歩いて片道6~7時間。その昔、炭俵を背負い、芹生峠を越えて貴船の炭問屋、あるいは芹生から花背峠を越え、鞍馬の炭問屋に納められたと伝えられています。
京みち・トロ峠は、平安京へ物資を送るため人々が踏みならした「古道」です。

2.通行不能で50年来放置されてきた


戦後間もない頃、黒田小学校の児童は、トロ峠を越えて貴船口まで歩き、鞍馬電車に乗って修学旅行に出かけたそうです。目的地は琵琶湖だったといいます。
昭和30年代に入ると府道も整備され、灰屋まで路線バス(当時の国鉄バス)が通うようになり、トロ峠は利用されなくなりました。
その後は倒木や豪雨災害が重なり、通行不能のままこれまで放置されてきました。

3.人気の北山歩き
近年、団塊世代のリタイア組や高齢の「山ガール」を中心に、「北山歩き」や、自然や歴史、文化に触れる「京都一周トレイル」のトレッキングが盛況です。
京都一周トレイルは、伏見桃山から、比叡山、大原、鞍馬を経て、高雄、嵐山、苔寺に至る京都の三山を散策できる全長約83.3キロの「京都一周トレイルコース」と、豊かな森林や清流、田園風景に恵まれた京北地域をめぐる全長約48.7キロの「京北一周トレイルコース」からなり、多くの観光客や市民に親しまれています。
休日ともなると、貴船、二ノ瀬、雲ケ畑から滝谷峠、魚谷峠、石仏峠、祖父谷峠、さらに桟敷ヶ岳、天童山などをめざす多くの北山歩きのグループが行き交っています。
また、マウンテンバイクで山岳縦走を楽しむ人もいるようです。

4.トロ峠の「黒田防空監視哨」
第二次世界大戦中、米軍の本土来襲に備え、敵機を監視する「防空監視哨」が府内33カ所に置かれました。トロ峠の頂上の近くにも「黒田監視哨」が設置されました。


監視隊員は、主に地域の青年団員があたり、1班は6人編成で、黒田で2班、山国で1班が編成され、3日に一回の当番で、毎朝7時に引き継ぐと翌朝まで24時間、6人が交替で監視にあたりました。
監視哨には、京都府庁の京都監視隊本部に直結した有線電話が備えられていて、敵機が認められると直ちに報告され、師団司令部から京都市域にも空襲警報が発令されるなど、防空体制が整えられたといいます。
当時小学生だった古老の記憶では黒田監視哨は次の図のようなものであったということです。

また、当時、監視哨の哨長を務めていた故人の家には、「航空機爆音」というSP盤レコードが残されています。


内務省防空研究所や海軍技術研究所の製作で、ラベルには防空監視哨員訓練用、米機ロッキードハドソン、米機マーチンなどと記され、飛行機のエンジン音が録音さています。
その音を耳に焼き付けて監視にあたっていたと見られます。

5.「黒田・京みちの会」の願い

平安の昔から都に物資を送り、地域住民の生活を支えてきた古道のひとつ、トロ峠。
荒れたまま放置され、やがてその存在も忘れ去られるのではないか。
地元の有志でつくる「京みちの会」では、地域の歴史遺産ともいえるこの峠道を再整備し、また幻の戦時資料ともいえる「黒田監視哨」を再現して、次世代に引き継ぎたいと考えています。
そして、北山歩きを楽しむ人たちには、安全に足を延ばして散策してもらえるようにし、豊かな自然に触れ、地域の歴史や暮らしぶりに思いを馳せることができる新たなルートを提供したいと考えています。

(片波川源流域の伏条台杉群・京都府天然記念物)

黒田には、京都府指定天然記念物「片波川源流域の伏条台杉群」があります。
西日本屈指の巨大杉の群落は、長岡京造営時から上桂川の水運を利用して木材を都に搬出してきたこの地域の林業の歴史を雄弁に物語っています。
これらを貴重な観光資源とし、黒田のみならず、桂川上流域全体の活性化の一助となることを期待しています。
新たな観光客を誘引し、この地域への関心がさらに高まり、移住・定住がさらに進んで、ふるさと・黒田が将来、限界集落から消滅集落へと進むようなことがないよう、切に願っています。

黒田の「京みち」トロ峠・通り初め
2017年11月5日(日)10:30~13:00

 主催:黒田・京みちの会

・旧黒田小学校グラウンド集合(10:30)
・古道の開通を祝い往来の安全を祈願(春日神社宮司)
・黒田防空監視哨跡へ出発
・トロ峠頂上付近で、黒田や山国の眺望も
・下山後、「黒田ふれあいまつり」で出店やふるまい餅、餅まきを
・休憩後、黒田の歴史のお話や監視哨経験者の証言ビデオを視聴
(会場:黒田基幹集落センター)

当日は、京北ふるさとバス臨時便増発 ≪9:30周山発、14:00黒田・宮発≫
7:50京都駅発、9:17周山着のJRバスから接続。
京都駅で「周山フリー乗車券」を購入すると往復料金2,360円が1,850円に。
「周山フリー乗車券」の購入者は、京北ふるさとバスの「京北一日フリー乗車券」(500円)が購入でき、京都駅と黒田間の往復料金は計3,620円が2,350円に!
黒田ふれあいまつりにお越しの方も、臨時便をご利用ください。

「京みち通り初め」の参加希望者は事前に電話でお申込みください。
傷害保険の手続きをしますので、氏名、住所、連絡先の電話番号をお伝えください。
お申込みは、おーらい黒田屋 075-856-0968、または黒田・京みちの会事務局 090-7354-4224まで。

下記お申込みフォームからもお申込みいただけます。
お申し込みフォーム

黒田の京みち復活の取り組みが京都新聞に紹介されました。
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