おーらい黒田屋

移住してきた仲間たち

地元の方々は、都会からの移住についてどう思っていますか?

─ 移住の際に気になることとして、地元の人が快く受け入れてくれるのか、という問題があります。そこで、地元で生まれ育った3名最近移住してきた3名に集まってもらい、皆さんの本音を聞いていきたいと思います。

 


(写真左から、地元組代表:江後さん・大和田さん・由里さん、移住組代表:新井さん・吉田さん・川口さん、まとめ役:西さん)

どんな人でも大歓迎っちゅうわけには、やっぱりいかんけどねぇ。

川口: 私自身は地元の皆さんにすごく良くしてもらって感謝しているけれど、そのために努力はしてきたつもりです。地域の活動に参加したり、行事の手伝いをしたり。田舎でのんびり過ごしたいという、別荘みたいな感覚での移住はなかなか難しいですよね。

 

新井: 僕も、簡単には認めてもらえないだろうとかなり身構えて黒田に来たので、「来てくれてありがとう」と言ってもらって驚きました。田舎の人間関係ってもっと厳しいと思っていたので。

 

由里:  人数が増えてにぎやかになるのは、もちろん歓迎ですわ。ただ、人口が少ないわりに地域の仕事が多いから、日役や除雪当番、消防団、町内会と、色んな役目が回ってくる。そんなんに全く参加せぇへんというのはちょっと困るわなぁ。誰かがやらんと、皆が生活できひんからね。

 

新井: 確かに、街中にいた時より忙しくなりましたね。でも、消防団は思っていたほど負担でもないし、年齢の近い知り合いが一気に増えたので、僕は入ってよかったと思いました。

 

吉田: 私は逆に、何のイメージも持たずに来たのがよかったのかも……湿度と日当たりの悪さに慣れるまで少し時間がかかったけど、あまり生活に不便も感じていません。ただ、男の人は色々と寄り合いがあるのに、女性は集まる機会が少ないですよね。最初はそれがちょっと寂しかったです。何かしたいけど、どこに行ったらいいかわからなくて。

 

江後:  女の人は外からお嫁に来た人が多いし、移住してきたからって遠慮することないのよ。街中や京北の他の地域から嫁いできた人もいるし、私みたいにずっと黒田にいる方が珍しいからね。

 

大和田:  婦人会はなくなってしまったけど、新たになんか会を作って、興味ある人が集まったらええんちゃうか。

 

なんにもないけど、欲しいものは自分たちで作っていけばいい。

 

川口京都の市街地まで車で1時間で出られるから、意外と不便はないんですよね。右京中央図書館や左京区岩倉の図書館にも、よく本を借りに行きます。街中での映画や買い物も楽しいんですけど、黒田に帰ってくると生き返るというか……思いっきり息を吸える感覚があります。

 

吉田: そうですよね。ないものはたくさんあるけど、本当に欲しいものは自分たちで作っていけばいいのかなって思ってます。建物は空いているから、みんなの本を集めて、勉強したりゆっくり読書したりできる場所を作りたいなぁとか。

 

大和田: 昔から住んでいる人の中には、どうでもええやん、しゃあないやん、と諦めている人もおるねん。色んな考えの人がいる。けど、わしらは黒田しか知らんさかいに、考え方を変えていかんとな。若い人たちが黒田を引っ張っていってくれるようにしていかんと。

 

江後: 私らはもう農業だけで生活していくのは無理やと思ってたけど、新井さんや吉田さんが農業でがんばってくれて、うまくいったらいいなぁと願っています。こないだのお宮さん(神社)の掃除の日役みたいに、みんなで用事しながら喋れる機会がもっとあるといいわね。

地域を良くしたいという、今までにない気持ちが生まれた。

川口: 街中では感じなかった挑戦する気持ちとかやりがいが、黒田の生活にはありますね。黒田に来て皆さんとお話しする中で、若い世代を増やさないといずれ生活が立ちいかなくなって、ここに住み続けられなくなるという危機感を持ちました。私が来てからの数年の間にも存続できなくなった行事があって、子どもたちも寂しがっています。なんとかして、今あるものを続けていきたい。

 

由里: 縁があって来てもらったからには、皆の頑張りが花咲くように地域としても考えていかなあかんなと思う。これからは我々に変わって、あんたたちにものごとを進めてもらわんならんのやからね。京北の中でも、黒田は地域が活発やと言われるんや。皆がまとまって祭りなんかをやってるからやろうね。

 

新井: ふれあいまつりや桜まつりに参加して、黒田の人たちが地域に誇りを持っていることをすごく感じました。今まで僕は、自分が住んでいる場所に特に愛着がなかったんです。でもここに来て、問題は山積みやけど、自分たちが良くしていかなあかんという責任感が生まれてきました。そういう場所で人生を過ごせるのは素敵なことだと思います。

 

大和田: 最後に言うとくけど、なんか困ったことがあったらもっとわしらに聞け。ちょっとあれ貸してくれへんかとか、なんでもな。遠慮せんと言ったらええぞ。